数学の歴史:メモ
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数学の歴史:メモ [2021/05/22 12:54] – [100人の数学者] yajuadmin | 数学の歴史:メモ [2023/01/07 14:46] – [巨大な遠回り] yajuadmin | ||
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====== 数学史のメモ ====== | ====== 数学史のメモ ====== | ||
- | 今後、数学史をまとめていく上でメモをまとめていく。 | + | 今後、数学史をまとめていく上でメモをまとめていく。\\ |
+ | 数学セミナー編集部が著した100人の数学者一覧 + 追加分 | ||
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+ | ===== 巨大な遠回り ===== | ||
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+ | * ヘレニズム期以後、ギリシャ世界の数学・科学・哲学の知見は西欧文化圏にはほとんど拡散しなかった。 | ||
+ | * 5世紀〜7世紀にかけて、主にシリア文明圏に引き渡される(シリア・ヘレニズム)。イスラム教帝国によってこれらがアラビア語訳。 | ||
+ | * 12世紀ごろから西欧に逆輸入(12世紀ルネサンス)。 | ||
+ | * 12世紀ルネサンスでは、イスラム地域から数学書が数多くもたらされ、アラビア語からラテン語に翻訳された(大翻訳運動)。 | ||
+ | * 12世紀ルネサンス期以後の西欧では、数学の担い手の社会的階層が広がった。 | ||
+ | * 特に職人・商人階級を中心に計算術や代数学などの実用的な数学の需要が高まった。(アラビア数字や記法を積極的に採用) | ||
+ | * イタリアでは「算法教師」が計算やアルゴリズム主体の数学を発展させ、イタリアにおける代数学の基礎を築いた。 | ||
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+ | === シリア・ヘレニズム === | ||
+ | * ネストリウス派(イエス=神人両性、431年エフェソス公会議で異端宣告)のシリア亡命。時のササン朝ペルシャ皇帝に歓迎される。 | ||
+ | * 単性論者(人としてのイエスも神性、451年カルケドン公会議で異端宣告)。シリアで細々と修道生活しながらギリシャ文献のシリア訳。 | ||
+ | ==== 西洋独自の発達 ==== | ||
+ | * ルネサンス期以降:ギリシャ以来の「総合的・演繹的数学」とインド・アラビア由来の「解析的・発見的数学」 | ||
+ | * これらを融合・統一する試み | ||
+ | * 幾何学の算術化 | ||
+ | * 代数学の幾何学的な一般性と厳密性 | ||
+ | * ヴィエトの記号代数学 | ||
+ | * 運動の数学的記述への試み | ||
+ | * 不可分者の概念 | ||
+ | * 瞬間の速度・曲線の接戦 | ||
+ | * 微分積分学の発見=微分積分学の基本定理の発見 | ||
+ | * 無限小算術の厳密化ではない | ||
+ | * 19世紀西洋数学 | ||
+ | * 量から概念へ | ||
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===== 人物 ===== | ===== 人物 ===== | ||
- | ==== アリスタルコス | + | ==== 古代・中世の数学 ==== |
+ | === アリスタルコス === | ||
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宇宙の中心には地球ではなく太陽が位置しているという太陽中心説(地動説)を最初に唱えたため、古代のコペルニクスと呼ばれる。 | 宇宙の中心には地球ではなく太陽が位置しているという太陽中心説(地動説)を最初に唱えたため、古代のコペルニクスと呼ばれる。 | ||
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天体三角測量 | 天体三角測量 | ||
- | ==== ヒッパルコス | + | === ヒッパルコス === |
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正弦(Sinus rectus) | 正弦(Sinus rectus) | ||
- | ==== プレイマイオス | + | === プレイマイオス === |
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三角関数表 | 三角関数表 | ||
- | ===== 100人の数学者 ===== | + | === ピュタゴラス |
- | ===== 古代・中世の数学 | + | === エウドクソス === |
- | ピュタゴラス エウドクソス エウクレイデス アルキメデス アポロニオス ディオファントス フワーリズミー | + | === エウクレイデス === |
- | サービト・イブン・クッラ イブラーヒーム・イブン・シナーン イブヌル・ハイサム | + | === アルキメデス === |
- | ウマル・ハイヤーム バースカラ フィボナッチ オレム マーダヴァ | + | |
+ | === ヒュパティア === | ||
+ | 2009年スペイン映画「[[https:// | ||
- | ===== 東アジアの伝統数学 ===== | + | 西暦4世紀、キリスト教が定着し異教の排斥が行なわれ始めた時代の、女性天文学者ヒュパティアの学問に殉じた半生をアレクサンドリアを舞台に描く。 |
- | 劉徽 祖冲之・祖○之(「日」に「恒」) 朱世傑 梅文鼎 関 孝和 建部賢弘 和田 寧 | + | |
+ | === ボエティウス === | ||
+ | 学問語であるギリシャ語の識字率が急速に低下、ギリシャ時代の高度な数学・科学・哲学の知識が急速に失われ始める。ラテン語の識字率が高い状態になっている時代背景がある。 | ||
- | ===== 近代西洋数学の形成 | + | * 480年〜525年。古代ローマ末期のイタリアの哲学者・政治家・修辞学者 |
- | カルダーノ ヴィエト ステヴィン ネイピア ガリレオ・ガリレイ ケプラー デザルグ デカルト | + | * ユークリッドやアリストテレスなどの著作をラテン語に翻訳しようとした。 |
- | カヴァリエリ フェルマー トリチェッリ ウォリス パスカル ホイヘンス ニュートン | + | * しかし、政治的嫌疑をかけれら、東ゴートのテオドリック王によって処刑。 |
- | ライプニッツ ベルヌリ(ヤーコプ) ベルヌリ(ヨーハン) マクローリン オイラー | + | === アポロニオス === |
- | ダランベール ラグランジュ モンジュ ラプラス ルジャンドル | + | === ディオファントス === |
+ | === フワーリズミー === | ||
+ | === サービト・イブン・クッラ === | ||
+ | === イブラーヒーム・イブン・シナーン === | ||
+ | === イブヌル・ハイサム === | ||
+ | === ウマル・ハイヤーム === | ||
+ | === バースカラ === | ||
+ | === フィボナッチ === | ||
+ | === オレム === | ||
+ | === マーダヴァ === | ||
- | ===== 近代数学の展開 ===== | ||
- | フーリエ ガウス ボルツァーノ コーシー バベッジ ロバチェフスキイ アーベル ボヤイ(ヤーノシュ) | + | ==== 東アジアの伝統数学 ==== |
- | ヤコビ ディリクレ ハミルトン リューヴィル ガロワ ワイエルシュトラス ケイリー エルミート | + | === 劉徽 === |
- | クロネッカー リーマン デデキント ジョルダン リー カントル フレーゲ クライン コワレフスカヤ ポアンカレ | + | === 祖冲之 === |
+ | ・祖○之(「日」に「恒」) | ||
+ | === 朱世傑 === | ||
+ | === 梅文鼎 === | ||
+ | === 関 孝和 === | ||
+ | === 建部賢弘 === | ||
+ | === 和田 寧 === | ||
- | ===== 現代数学の開花 | + | ==== 近代西洋数学の形成 ==== |
- | ヒルベルト アダマール ハウスドルフ カルタン ボレル ラッセル カラテオドリ 高木貞治 ルベーグ | + | === カルダーノ === |
- | アインシュタイン ブラウワー ネーター ヴァイル ラーマーヌジャン ベルナイス バナッハ ウィーナー | + | === ヴィエト === |
- | アルティン 岡潔 コルモゴロフ フォン・ノイマン ゲーデル ヴェイユ ポントリャーギン シュヴァレー | + | === ステヴィン === |
+ | === ネイピア === | ||
+ | === ガリレオ・ガリレイ === | ||
+ | === ケプラー === | ||
+ | === デザルグ === | ||
+ | === デカルト === | ||
+ | === カヴァリエリ === | ||
+ | === フェルマー === | ||
+ | === トリチェッリ === | ||
+ | === ウォリス === | ||
+ | === パスカル === | ||
+ | === ホイヘンス === | ||
+ | === ニュートン === | ||
+ | === ライプニッツ === | ||
+ | === ベルヌリ(ヤーコプ) === | ||
+ | === ベルヌリ(ヨーハン) === | ||
+ | === マクローリン === | ||
+ | === オイラー === | ||
+ | === ダランベール === | ||
+ | === ラグランジュ === | ||
+ | === モンジュ === | ||
+ | === ラプラス === | ||
+ | === ルジャンドル === | ||
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+ | ==== 近代数学の展開 ==== | ||
+ | === フーリエ === | ||
+ | === ガウス === | ||
+ | === ボルツァーノ === | ||
+ | === コーシー === | ||
+ | === バベッジ === | ||
+ | === ロバチェフスキイ === | ||
+ | === アーベル === | ||
+ | === ボヤイ(ヤーノシュ) === | ||
+ | === ヤコビ === | ||
+ | === ディリクレ === | ||
+ | === ハミルトン === | ||
+ | === リューヴィル === | ||
+ | === ガロワ === | ||
+ | === ワイエルシュトラス === | ||
+ | === ケイリー === | ||
+ | === エルミート === | ||
+ | === クロネッカー === | ||
+ | === リーマン === | ||
+ | === デデキント === | ||
+ | === ジョルダン === | ||
+ | === リー === | ||
+ | === カントル === | ||
+ | === フレーゲ === | ||
+ | === クライン === | ||
+ | === コワレフスカヤ === | ||
+ | === ポアンカレ === | ||
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+ | ==== 現代数学の開花 ==== | ||
+ | === ヒルベルト === | ||
+ | === アダマール === | ||
+ | === ハウスドルフ === | ||
+ | === カルタン === | ||
+ | === ボレル === | ||
+ | === ラッセル === | ||
+ | === カラテオドリ === | ||
+ | === 高木貞治 === | ||
+ | === ルベーグ === | ||
+ | === アインシュタイン === | ||
+ | === ブラウワー === | ||
+ | === ネーター === | ||
+ | === ヴァイル === | ||
+ | === ラーマーヌジャン === | ||
+ | === ベルナイス === | ||
+ | === バナッハ === | ||
+ | === ウィーナー === | ||
+ | === アルティン === | ||
+ | === 岡潔 === | ||
+ | === コルモゴロフ === | ||
+ | === フォン・ノイマン === | ||
+ | === ゲーデル === | ||
+ | === ヴェイユ === | ||
+ | === ポントリャーギン === | ||
+ | === シュヴァレー === | ||
チューリング シュヴァルツ | チューリング シュヴァルツ | ||
行 84: | 行 211: | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
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+ | ==== 大航海時代 ==== | ||
+ | 暗黒の中世からルネッサンスへ人びとの目も海外へ11〜13世紀頃、ヨーロッパではカトリック教会が大きな権威を持っており人びとの生活の中心には、キリスト教への絶対的信仰があった。この頃、イスラム勢力の支配下にあったキリスト教の聖地エルサレムを奪還しようとたびたび十字軍が組織され、キリスト教徒の騎士たちは東方への攻め込んだ。この戦いで、科学的に進んでいたイスラム文化と接するうちに、やがて頑迷なキリスト教徒たちの間にも、自己反省がおこなわれはじめる。 | ||
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+ | 一方で、14世紀ヨーロッパにおいて流行したペストの影響も少なからずあった。この疫病により、ヨーロッパは人口の4分の1から3分の1を失ったという。 | ||
+ | このため、労働力が急激に減少し、賃金が上昇。農民が流動的になることで農奴に依存する荘園制が崩壊。また人材不足は、それまで大きく超えることがなかった身分の枠を飛び越えた人材登用を促した。こうして、封建的身分制度は実質的解体へと向かったのである。これかの背景に、教会の権威の失墜がある。ペストの脅威から人びとを救えなかった宗教に代わるものとして、14〜16世紀のヨーロッパには、知識を重んじるルネサンスの時代が来る。羅針盤に航海術も発展し、世界への乗り出す大航海時代がはじまったのである。 | ||
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+ | 「航海王子」と称されるポルトガルのエンリケ王子の指揮により、1422年以降アフリカ西岸を南に下る艦隊を多数派遣されたことが、大航海時代のはじまりといわれている。それまで通用していたプレイマイオス世界図では、アフリカの陸続きにアジアがあるとされ、アフリカとアジアは南半球でつながっているものと考えられていた。しかし、十字軍によって得たアラビアの知識では、アフリカには南端があり、それを超えてインドへの航海することが可能とされていた。彼らは、アフリカの先にどんな夢を見たのでだろう。1487年には喜望峰が発見され、1498年にはバスコ・ダ・ガマがカリカットに到着、インドへの直通航路が開かれた。 |
数学の歴史/メモ.txt · 最終更新: 2023/01/14 00:57 by yajuadmin