電池
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電池 [2020/11/22 21:37] – [ポスト・リチウムイオン電池] yajuadmin | 電池 [2021/01/26 00:35] – [種類] yajuadmin | ||
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- | ===== 用語 ===== | ||
- | 定置用蓄電池:自動車や産業機器などのバッテリーのこと\\ | ||
- | 定置用蓄電池は、昨今の大規模災害の頻発による非常用電源確保ニーズの高まりを受けて、需要が増大している。 | ||
- | 鉛蓄電池:LiBの高性能化が進む前の定置用蓄電池として用いられていた。\\ | + | |
- | 今でも鉛蓄電池が占める割合が圧倒的に大きいのだが、LiBの高性能化とコストダウンの進展に伴い、いずれは置き換えが進んで主役の座を譲る存在というイメージが強い。 | + | |
===== リチウムイオン電池 ===== | ===== リチウムイオン電池 ===== | ||
リチウムイオン電池とはプラス極にリチウム金属酸化物、マイナス極に炭素を使い、電解質を充てんした仕組みの電池です。\\ | リチウムイオン電池とはプラス極にリチウム金属酸化物、マイナス極に炭素を使い、電解質を充てんした仕組みの電池です。\\ | ||
名前が似ているリチウム電池とは違いリチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池となっているのが特徴、小さくて大容量の電力を蓄えられることから携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして使われています。 | 名前が似ているリチウム電池とは違いリチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池となっているのが特徴、小さくて大容量の電力を蓄えられることから携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして使われています。 | ||
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* 長時間充電を満タンにしたまま放置しておくと劣化する | * 長時間充電を満タンにしたまま放置しておくと劣化する | ||
* リチウムとコバルトはレアメタル \\ リチウムは南米のチリやボリビアに偏在しており、地球の地殻成分の0.002%しかありません。 | * リチウムとコバルトはレアメタル \\ リチウムは南米のチリやボリビアに偏在しており、地球の地殻成分の0.002%しかありません。 | ||
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==== 種類 ==== | ==== 種類 ==== | ||
一口にリチウムイオン電池と言っても様々な種類があり、正極、負極、電解質の材料の組み合わせによって性能が変化する。一般的に普及しているものを大雑把に分類すると次のようになる。なお、添加剤の工夫や電極のコーティングなどによっても性能や安全性は向上するため実際はより複雑である。\\ | 一口にリチウムイオン電池と言っても様々な種類があり、正極、負極、電解質の材料の組み合わせによって性能が変化する。一般的に普及しているものを大雑把に分類すると次のようになる。なお、添加剤の工夫や電極のコーティングなどによっても性能や安全性は向上するため実際はより複雑である。\\ | ||
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+ | リチウムイオン電池の代表的なのは下記の3種類 | ||
+ | * NMC(ニッケル、マンガン、コバルト) | ||
+ | * NCA(ニッケル、コバルト、アルミ) | ||
+ | * LFP(リチウム、鉄、リン) | ||
^正極|コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム| | ^正極|コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム| | ||
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==== 材料需要/ | ==== 材料需要/ | ||
+ | 2020年11月現在、リチウムの価格は下落しています。\\ | ||
+ | 1トン:39000ドル、日本円では405万円程度です。1kg: | ||
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+ | ==== 中国のEV車はバッテリー交換式 ==== | ||
+ | 中国のEV車はバッテリー交換式を採用している。\\ | ||
+ | バッテリー交換ステーションで車を持ち上げて底部からバッテリーをはずして交換、6分弱でバッテリー交換を完了します。\\ | ||
+ | バッテリーは常に新しくなるのでバッテリーによる故障がしにくい、フル充電のバッテリーと交換するだけなので、フル充電されるのを待つより速い。\\ | ||
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===== ポスト・リチウムイオン電池 ===== | ===== ポスト・リチウムイオン電池 ===== | ||
ポスト・リチウムイオン電池の本名は全固体電池となります。それ以外の次世代電池としては、一番実用化に近いといわれるナトリウムイオン二次電池は2025年頃から、金属空気二次電池、カリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池は2030年以降の市場形成を予想されています。 | ポスト・リチウムイオン電池の本名は全固体電池となります。それ以外の次世代電池としては、一番実用化に近いといわれるナトリウムイオン二次電池は2025年頃から、金属空気二次電池、カリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池は2030年以降の市場形成を予想されています。 | ||
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* [[# | * [[# | ||
* [[# | * [[# | ||
- | * グラフェン・バッテリー | + | * [[# |
- | * バイポーラ型鉛蓄電池 | + | * [[#バイポーラ型鉛蓄電池|バイポーラ型鉛蓄電池]] |
- | * バインド電池(鉛蓄電池とリチウムイオン電池のハイブリッド) | + | * [[# |
- | * 不燃性電解液リチウムイオン電池 | + | * [[#不燃性電解液リチウムイオン電池|不燃性電解液リチウムイオン電池]] |
- | * ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池) | + | * [[#ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)|ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)]] |
+ | * [[# | ||
+ | * [[# | ||
* リチウム・硫黄電池 | * リチウム・硫黄電池 | ||
* コバルトフリー電池 | * コバルトフリー電池 | ||
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* [[https:// | * [[https:// | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
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=== 種類 === | === 種類 === | ||
固体電解質は2種類ある。 | 固体電解質は2種類ある。 | ||
- | * 酸化物系固体電解質 | + | * 酸化物系固体電解質(ソリッドパワーなど) |
* 硫化物系固体電解質(マクセル、出光興産、日立造船) | * 硫化物系固体電解質(マクセル、出光興産、日立造船) | ||
行 113: | 行 131: | ||
=== 実用化 === | === 実用化 === | ||
不明 | 不明 | ||
- | * ソリッドパワーが2Ahの容量をもつ電池を2020年10月から量産開始 | + | * ソリッドパワーが2Ahの容量をもつ電池を2020年10月から量産開始、20Ahの容量は2021年に製品化 |
ウェアブル端末やIoT端末向け | ウェアブル端末やIoT端末向け | ||
行 123: | 行 141: | ||
スマートフォン、タブレット端末向け | スマートフォン、タブレット端末向け | ||
* 米カルマ社はクルマ向けに開発した電池をクルマより1~2年早くスマートフォン向けに出荷する | * 米カルマ社はクルマ向けに開発した電池をクルマより1~2年早くスマートフォン向けに出荷する | ||
+ | |||
クルマ向け | クルマ向け | ||
+ | * トヨタ自動車の開発目標値は体積エネルギー密度:400Wh/ | ||
+ | * ソリッドパワーが車載用電池をを2026年に出荷予定 | ||
+ | |||
+ | ^電池種類^体積エネルギー密度^ | ||
+ | |リチウムイオン|520Wh/ | ||
+ | |ニッカド|110Wh/ | ||
+ | |ニッケル水素|195Wh/ | ||
+ | |鉛蓄電池|82Wh/ | ||
+ | |||
+ | 2020年時点で目標値自体はリチウムイオン電池よりも低い、2025年時点でも全個体電池市場は小さい、2035年に市場が大きくなる。 | ||
+ | 電気自動車のモーターの最高出力は100kW以上ある。大電流を取り出せないと電気自動車には使えない。 | ||
=== 関連企業/ | === 関連企業/ | ||
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* [[https:// | * [[https:// | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
+ | * [[https:// | ||
==== 全樹脂電池 ==== | ==== 全樹脂電池 ==== | ||
- | APB(All Polymer Batteryの略名で造語)と呼び、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型のリチウムイオン電池で正負極や電解質といったリチウムイオン電池を構成する主要部材をすべて樹脂化したものとなります。 | + | APB(All Polymer Batteryの略名で造語)と呼び、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型のリチウムイオン電池で正負極や電解質といったリチウムイオン電池を構成する主要部材をすべて樹脂化したものとなります。\\ |
+ | ブルームバーグの報道によると全樹脂電池のコストは従来より9割も減少すると説明しています。 | ||
全樹脂電池はリチウムイオン電池と比べて下記のメリットがあります。 | 全樹脂電池はリチウムイオン電池と比べて下記のメリットがあります。 | ||
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* [[https:// | * [[https:// | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
+ | * [[https:// | ||
+ | * [[https:// | ||
+ | * [[https:// | ||
=== 主な用途 === | === 主な用途 === | ||
- | 定置用大型蓄電池(太陽光などで発電した電気を貯めておくなど) | + | * 定置用大型蓄電池(太陽光などで発電した電気を貯めておくなど) |
+ | * 全樹脂電池を搭載した無人航空機 | ||
=== 実用化 === | === 実用化 === | ||
行 187: | 行 223: | ||
==== リチウム空気電池 ==== | ==== リチウム空気電池 ==== | ||
空気中の酸素(正極活性物)とリチウム金属(負極活性物)が化学反応することで電力を生成する。\\ | 空気中の酸素(正極活性物)とリチウム金属(負極活性物)が化学反応することで電力を生成する。\\ | ||
- | これまでのリチウムイオン電池は電池内に正極活性物と負極活性物を備える必要があるが、正極活性物は大気中の酸素を使用することから電池内をほぼ負極活性物が占めることができるため、コスト削減のほか、発生するエネルギー密度の大幅増につながり、その重量あたりのエネルギー密度はリチウムイオン電池と比べて5倍以上になる。 | + | これまでのリチウムイオン電池は電池内に正極活性物と負極活性物を備える必要があるが、正極活性物は大気中の酸素を使用することから電池内をほぼ負極活性物が占めることができるため、コスト削減のほか、発生するエネルギー密度の大幅増につながり、その重量あたりのエネルギー密度はリチウムイオン電池と比べて5倍以上になる。\\ |
+ | サイクル寿命が50回と短いのが欠点だが、それを改善する方法が発見された。しかし、サイクル寿命を伸ばすと電池容量を減らす必要がある。サイクル寿命と電池容量はトレードオフの関係である。 | ||
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=== 用途 === | === 用途 === | ||
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負極にアルミニウム、空気極(正極)には炭素やチタン系などの材料を使用。電解質にはイオン液体に類似した深共晶溶媒を用い、かつ最適な添加剤を複合化させることで電解質の固体化に成功した。 | 負極にアルミニウム、空気極(正極)には炭素やチタン系などの材料を使用。電解質にはイオン液体に類似した深共晶溶媒を用い、かつ最適な添加剤を複合化させることで電解質の固体化に成功した。 | ||
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=== 関連企業/ | === 関連企業/ | ||
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==== グラフェン電池 ==== | ==== グラフェン電池 ==== | ||
グラフェンをアノードとカソードに採用したリチウムイオン電池である。\\ | グラフェンをアノードとカソードに採用したリチウムイオン電池である。\\ | ||
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* 充電時間が短い。(満充電まで30分) | * 充電時間が短い。(満充電まで30分) | ||
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=== 実用化 === | === 実用化 === | ||
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この電解液を不燃性にしたリチウムイオン電池が開発されている。 | この電解液を不燃性にしたリチウムイオン電池が開発されている。 | ||
- | 電解液に不燃性のイオン液体を用いたリチウムイオン電池\\ | + | 電解液に不燃性のイオン液体を用いたリチウムイオン電池 |
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==== ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池) ==== | ==== ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池) ==== | ||
レアメタルであるリチウムに代わりにナトリウムに置き換えたもの。\\ | レアメタルであるリチウムに代わりにナトリウムに置き換えたもの。\\ | ||
行 253: | 行 293: | ||
スマホの充電では、リチウムイオン電池が30分かかるところ、ナトリウムイオン電池なら5分で終わるぐらい速くできます。 | スマホの充電では、リチウムイオン電池が30分かかるところ、ナトリウムイオン電池なら5分で終わるぐらい速くできます。 | ||
- | [[https:// | + | * [[https:// |
==== バイポーラ型鉛蓄電池 ==== | ==== バイポーラ型鉛蓄電池 ==== | ||
行 287: | 行 327: | ||
=== 関連企業/ | === 関連企業/ | ||
* [[https:// | * [[https:// | ||
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+ | ==== 水系リチウムイオン電池 ==== | ||
+ | 電解液の溶媒に水を使用している電池で、可燃性の溶媒を使用しないため安全性が向上しています。マイナス30℃の極地でも充放電が可能です。 | ||
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+ | * [[https:// | ||
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+ | === 用途 === | ||
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+ | === 実用化 === | ||
+ | 2020年代の実用化を目指す | ||
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+ | === 関連企業/ | ||
+ | * [[https:// | ||
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+ | ===== 用語 ===== | ||
+ | ^定置用蓄電池|自動車や産業機器などのバッテリーのこと \\ 定置用蓄電池は、昨今の大規模災害の頻発による非常用電源確保ニーズの高まりを受けて、需要が増大している。| | ||
+ | ^鉛蓄電池|LiBの高性能化が進む前の定置用蓄電池として用いられていた。 \\ 今でも鉛蓄電池が占める割合が圧倒的に大きいのだが、LiBの高性能化とコストダウンの進展に伴い、いずれは置き換えが進んで主役の座を譲る存在というイメージが強い。| | ||
+ | ^重量エネルギー密度|リチウムイオン電池は200[Wh/ | ||
+ | ^サイクル寿命| | | ||
+ | ^放電電圧| | | ||
+ | ^充電効率| | | ||
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電池.txt · 最終更新: 2022/09/17 11:37 by yajuadmin