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電池

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電池 [2020/11/25 01:44] – [グラフェン電池] yajuadmin電池 [2021/01/17 00:57] – [材料需要/価格] yajuadmin
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 [[https://eetimes.jp/ee/articles/2009/23/news078.html|電池技術関連特許出願数、日本が世界トップ(全体の3分の1以上が日本)]] [[https://eetimes.jp/ee/articles/2009/23/news078.html|電池技術関連特許出願数、日本が世界トップ(全体の3分の1以上が日本)]]
  
-===== 用語 ===== 
-定置用蓄電池:自動車や産業機器などのバッテリーのこと\\ 
-定置用蓄電池は、昨今の大規模災害の頻発による非常用電源確保ニーズの高まりを受けて、需要が増大している。 
  
-鉛蓄電池:LiBの高性能化が進む前の定置用蓄電池として用いられていた。\\ + 
-今でも鉛蓄電池が占める割合が圧倒的に大きいのだが、LiBの高性能化とコストダウンの進展に伴い、いずれは置き換えが進んで主役の座を譲る存在というイメージが強い。+
 ===== リチウムイオン電池 ===== ===== リチウムイオン電池 =====
 リチウムイオン電池とはプラス極にリチウム金属酸化物、マイナス極に炭素を使い、電解質を充てんした仕組みの電池です。\\ リチウムイオン電池とはプラス極にリチウム金属酸化物、マイナス極に炭素を使い、電解質を充てんした仕組みの電池です。\\
 名前が似ているリチウム電池とは違いリチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池となっているのが特徴、小さくて大容量の電力を蓄えられることから携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして使われています。 名前が似ているリチウム電池とは違いリチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池となっているのが特徴、小さくて大容量の電力を蓄えられることから携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして使われています。
- 
  
 [[https://eetimes.jp/ee/articles/1902/01/news075.html|リコー、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を印刷で製造]] [[https://eetimes.jp/ee/articles/1902/01/news075.html|リコー、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を印刷で製造]]
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 ==== 材料需要/価格 ==== ==== 材料需要/価格 ====
 +2020年11月現在、リチウムの価格は下落しています。\\
 +1トン:39000ドル、日本円では405万円程度です。1kg:4000円
  
   * [[https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190831/mcb1908310855001-n1.htm|リチウム下落に中国の影 EV需要低迷で供給過剰、増産見直し]]   * [[https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190831/mcb1908310855001-n1.htm|リチウム下落に中国の影 EV需要低迷で供給過剰、増産見直し]]
   * [[https://eetimes.jp/ee/articles/2003/30/news049.html|LIB材料世界市場、2023年に5兆7781億円規模へ - 富士経済が調査]]   * [[https://eetimes.jp/ee/articles/2003/30/news049.html|LIB材料世界市場、2023年に5兆7781億円規模へ - 富士経済が調査]]
   * [[https://hifumi.rheos.jp/labo/2020/analyst_note01.html|テスラに乗って考えたEVの加速【アナリストの取材ノート#1】]]   * [[https://hifumi.rheos.jp/labo/2020/analyst_note01.html|テスラに乗って考えたEVの加速【アナリストの取材ノート#1】]]
 +  * [[https://pps-net.org/column/48493|電気自動車の未来(2)、蓄電池は6年間で約1/4の価格に、今後は次世代の全固体電池で性能向上]]
 +
 +==== 中国のEV車はバッテリー交換式 ====
 +中国のEV車はバッテリー交換式を採用している。\\
 +バッテリー交換ステーションで車を持ち上げて底部からバッテリーをはずして交換、6分弱でバッテリー交換を完了します。\\
 +バッテリーは常に新しくなるのでバッテリーによる故障がしにくい、フル充電のバッテリーと交換するだけなので、フル充電されるのを待つより速い。
 +
 ===== ポスト・リチウムイオン電池 ===== ===== ポスト・リチウムイオン電池 =====
 ポスト・リチウムイオン電池の本名は全固体電池となります。それ以外の次世代電池としては、一番実用化に近いといわれるナトリウムイオン二次電池は2025年頃から、金属空気二次電池、カリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池は2030年以降の市場形成を予想されています。 ポスト・リチウムイオン電池の本名は全固体電池となります。それ以外の次世代電池としては、一番実用化に近いといわれるナトリウムイオン二次電池は2025年頃から、金属空気二次電池、カリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池は2030年以降の市場形成を予想されています。
行 73: 行 78:
   * [[#ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)|ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)]]   * [[#ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)|ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池)]]
   * [[#リチウム空気電池|リチウム空気電池]]   * [[#リチウム空気電池|リチウム空気電池]]
-  * 水系リチウムイオン電池+  * [[#水系リチウムイオン電池|水系リチウムイオン電池]]
   * リチウム・硫黄電池   * リチウム・硫黄電池
   * コバルトフリー電池   * コバルトフリー電池
行 103: 行 108:
   * [[https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202008270851|【特集】成長エンジン始動、量産化加速の「全固体電池」関連株を追え <株探トップ特集>]]   * [[https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202008270851|【特集】成長エンジン始動、量産化加速の「全固体電池」関連株を追え <株探トップ特集>]]
   * [[https://www.asset-alive.com/thema/?mode=show&tid=848|株テーマ:全固体電池:EV普及へ開発競争の関連銘柄]]   * [[https://www.asset-alive.com/thema/?mode=show&tid=848|株テーマ:全固体電池:EV普及へ開発競争の関連銘柄]]
 +  * [[https://www.youtube.com/watch?v=K7S19BraFN0|全固体電池 実用化に向け大容量化技術開発 大阪府立大など]]
 +  * [[https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/09337/|米ベンチャー(ソリッドパワー)が330Wh/kgの全固体電池、急速充電では課題も]]
  
 === 種類 === === 種類 ===
 固体電解質は2種類ある。 固体電解質は2種類ある。
-  * 酸化物系固体電解質+  * 酸化物系固体電解質(ソリッドパワーなど)
   * 硫化物系固体電解質(マクセル、出光興産、日立造船)   * 硫化物系固体電解質(マクセル、出光興産、日立造船)
    
行 118: 行 125:
 === 実用化 === === 実用化 ===
 不明 不明
-  * ソリッドパワーが2Ahの容量をもつ電池を2020年10月から量産開始+  * ソリッドパワーが2Ahの容量をもつ電池を2020年10月から量産開始、20Ahの容量は2021年に製品化
  
 ウェアブル端末やIoT端末向け ウェアブル端末やIoT端末向け
行 128: 行 135:
 スマートフォン、タブレット端末向け スマートフォン、タブレット端末向け
   * 米カルマ社はクルマ向けに開発した電池をクルマより1~2年早くスマートフォン向けに出荷する   * 米カルマ社はクルマ向けに開発した電池をクルマより1~2年早くスマートフォン向けに出荷する
 +
 クルマ向け クルマ向け
 +  * トヨタ自動車の開発目標値は体積エネルギー密度:400Wh/L
 +  * ソリッドパワーが車載用電池をを2026年に出荷予定
 +
 +^電池種類^体積エネルギー密度^
 +|リチウムイオン|520Wh/L|
 +|ニッカド|110Wh/L|
 +|ニッケル水素|195Wh/L|
 +|鉛蓄電池|82Wh/L|
 +
 +2020年時点で目標値自体はリチウムイオン電池よりも低い、2025年時点でも全個体電池市場は小さい、2035年に市場が大きくなる。
  
 +電気自動車のモーターの最高出力は100kW以上ある。大電流を取り出せないと電気自動車には使えない。
  
 === 関連企業/研究所 === === 関連企業/研究所 ===
行 145: 行 164:
   * [[https://www.yuden.co.jp/jp/|太陽誘電(6976)]]   * [[https://www.yuden.co.jp/jp/|太陽誘電(6976)]]
   * [[https://www.idss.co.jp/|出光興産(5019)]]   * [[https://www.idss.co.jp/|出光興産(5019)]]
 +  * [[https://www.osakafu-u.ac.jp/|大阪府立大学]]
  
 ==== 全樹脂電池 ==== ==== 全樹脂電池 ====
-APB(All Polymer Batteryの略名で造語)と呼び、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型のリチウムイオン電池で正負極や電解質といったリチウムイオン電池を構成する主要部材をすべて樹脂化したものとなります。+APB(All Polymer Batteryの略名で造語)と呼び、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型のリチウムイオン電池で正負極や電解質といったリチウムイオン電池を構成する主要部材をすべて樹脂化したものとなります。\\ 
 +ブルームバーグの報道によると全樹脂電池のコストは従来より9割も減少すると説明しています。
  
 全樹脂電池はリチウムイオン電池と比べて下記のメリットがあります。 全樹脂電池はリチウムイオン電池と比べて下記のメリットがあります。
行 158: 行 179:
   * [[https://www.youtube.com/watch?v=B3RlYHCkvUQ|全樹脂電池の現状と今後【豊田通商出資】 - ERESTAGE LAB]]   * [[https://www.youtube.com/watch?v=B3RlYHCkvUQ|全樹脂電池の現状と今後【豊田通商出資】 - ERESTAGE LAB]]
   * [[https://toyokeizai.net/articles/-/373272|元日産エンジニアが考案した次世代電池の実力]]   * [[https://toyokeizai.net/articles/-/373272|元日産エンジニアが考案した次世代電池の実力]]
 +  * [[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-08/QD0WBNT1UM0W01|日産リーフの技術者、「全樹脂」電池でコスト9割減-安全性も両立]]
 +  * [[https://www.youtube.com/watch?v=_lM2H4rCj6Q|全樹脂電池を搭載した無人航空機を開発開始! - ERESTAGE LAB]]
 +  * [[https://www.hapsmobile.com/ja/news/press/2020/20201224_01/|HAPSモバイルとAPB、全樹脂電池を用いたHAPS向け蓄電池の開発に向けて基本合意]]
  
 === 主な用途 === === 主な用途 ===
-定置用大型蓄電池(太陽光などで発電した電気を貯めておくなど)+  * 定置用大型蓄電池(太陽光などで発電した電気を貯めておくなど) 
 +  * 全樹脂電池を搭載した無人航空機
  
 === 実用化 === === 実用化 ===
行 192: 行 217:
 ==== リチウム空気電池 ==== ==== リチウム空気電池 ====
 空気中の酸素(正極活性物)とリチウム金属(負極活性物)が化学反応することで電力を生成する。\\ 空気中の酸素(正極活性物)とリチウム金属(負極活性物)が化学反応することで電力を生成する。\\
-これまでのリチウムイオン電池は電池内に正極活性物と負極活性物を備える必要があるが、正極活性物は大気中の酸素を使用することから電池内をほぼ負極活性物が占めることができるため、コスト削減のほか、発生するエネルギー密度の大幅増につながり、その重量あたりのエネルギー密度はリチウムイオン電池と比べて5倍以上になる。+これまでのリチウムイオン電池は電池内に正極活性物と負極活性物を備える必要があるが、正極活性物は大気中の酸素を使用することから電池内をほぼ負極活性物が占めることができるため、コスト削減のほか、発生するエネルギー密度の大幅増につながり、その重量あたりのエネルギー密度はリチウムイオン電池と比べて5倍以上になる。\\ 
 +サイクル寿命が50回と短いのが欠点だが、それを改善する方法が発見された。しかし、サイクル寿命を伸ばすと電池容量を減らす必要がある。サイクル寿命と電池容量はトレードオフの関係である。
  
 +  * [[https://www.youtube.com/watch?v=XjI6bqvE9sc|【大容量】リチウム空気電池とリチウム燃料電池 - ERESTAGE LAB]]
 +  * [[https://www.youtube.com/watch?v=0oqxG7VmHfY|リチウム空気電池のサイクル寿命改善方法をソフトバンクが発見しました。 - ERESTAGE LAB]]
 === 用途 === === 用途 ===
  
行 251: 行 279:
 電解液に不燃性のイオン液体を用いたリチウムイオン電池 電解液に不燃性のイオン液体を用いたリチウムイオン電池
  
-[[https://www.eliiypower.co.jp/technology/index.html|エリーパワー電池セルの要素技術]]\\ +  * [[https://www.eliiypower.co.jp/technology/index.html|エリーパワー電池セルの要素技術]] 
-[[https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2003/06/news052.html|“燃えない”電解液を新開発、リチウムイオン電池の性能・寿命向上も実現]]\\ +  [[https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2003/06/news052.html|“燃えない”電解液を新開発、リチウムイオン電池の性能・寿命向上も実現]] 
-[[https://wired.jp/2020/01/14/scientists-made-a-nearly-invincible-lithium-ion-battery/|ついに“史上最強”のリチウムイオン電池が誕生? 透明で柔軟で火にも耐えるバッテリー、米研究チームが開発]]+  [[https://wired.jp/2020/01/14/scientists-made-a-nearly-invincible-lithium-ion-battery/|ついに“史上最強”のリチウムイオン電池が誕生? 透明で柔軟で火にも耐えるバッテリー、米研究チームが開発]]
 ==== ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池) ==== ==== ナトリウムイオン電池(ソディウム・イオン電池) ====
 レアメタルであるリチウムに代わりにナトリウムに置き換えたもの。\\ レアメタルであるリチウムに代わりにナトリウムに置き換えたもの。\\
行 259: 行 287:
 スマホの充電では、リチウムイオン電池が30分かかるところ、ナトリウムイオン電池なら5分で終わるぐらい速くできます。 スマホの充電では、リチウムイオン電池が30分かかるところ、ナトリウムイオン電池なら5分で終わるぐらい速くできます。
  
-[[https://www.mugendai-web.jp/archives/9675|レアメタルに依存しない電池を開発――リチウムに代わり、ナトリウム、カリウムを主役に]]+  * [[https://www.mugendai-web.jp/archives/9675|レアメタルに依存しない電池を開発――リチウムに代わり、ナトリウム、カリウムを主役に]]
  
 ==== バイポーラ型鉛蓄電池 ==== ==== バイポーラ型鉛蓄電池 ====
行 296: 行 324:
 ==== 水系リチウムイオン電池 ==== ==== 水系リチウムイオン電池 ====
 電解液の溶媒に水を使用している電池で、可燃性の溶媒を使用しないため安全性が向上しています。マイナス30℃の極地でも充放電が可能です。 電解液の溶媒に水を使用している電池で、可燃性の溶媒を使用しないため安全性が向上しています。マイナス30℃の極地でも充放電が可能です。
 +
 +  * [[https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2011/20/news067.html|東芝が“燃えない”リチウムイオン電池を新開発、低コスト化の実現も]]
 +  * [[https://www.youtube.com/watch?v=Vf8tazWKoMU|【新技術】水系リチウムイオン電池【東芝】 - ERESTAGE LAB]]
  
 === 用途 === === 用途 ===
行 303: 行 334:
  
 === 関連企業/研究所 === === 関連企業/研究所 ===
-  * 東芝+  * [[https://www.toshiba.co.jp/|東芝(6502)]] 
 + 
 +===== 用語 ===== 
 +^定置用蓄電池|自動車や産業機器などのバッテリーのこと \\ 定置用蓄電池は、昨今の大規模災害の頻発による非常用電源確保ニーズの高まりを受けて、需要が増大している。| 
 +^鉛蓄電池|LiBの高性能化が進む前の定置用蓄電池として用いられていた。 \\ 今でも鉛蓄電池が占める割合が圧倒的に大きいのだが、LiBの高性能化とコストダウンの進展に伴い、いずれは置き換えが進んで主役の座を譲る存在というイメージが強い。| 
 +^重量エネルギー密度|リチウムイオン電池は200[Wh/kg]〜250[Wh/kg]程度、数値が高いほど軽い電池となる| 
 +^サイクル寿命| | 
 +^放電電圧| | 
 +^充電効率| | 
電池.txt · 最終更新: 2022/09/17 11:37 by yajuadmin